こんにちは。「困ったときはひとまず笑ってやり過ごせ!」WRMJの代表理事を務めさせていただいています寺田です。ついにWRMJの第1号ニュースレター発行になりました!「リレーコラム」のトップバッターとして、今回はこれからのウィンターシーズンの野外活動で大切な体温保持についてご紹介します。
Wilderness Risk Management Japan(WRMJ)は、国内の「野外×安全」に関わっている様々な団体や個人の専門的知見を共有、情報交換し総合的に野外における安全の向上に寄与することを目的にして創られました。山・川・海・人・雪・空など野外活動を取り巻く様々な背景の人々が集まり、普段かかわりのない分野の情報に思わぬヒントがあったり新しい交流が生まれるかもしれませんし、それぞれの専門的知見を知るキッカケになるかもしれません。このWRMJにはそんなハブのような機能を期待しています。会員のみなさんの積極的な情報提供とディスカッションによって、さらの安心安全が広がる日本の野外活動を応援していきっましょう。
私はWMA Japanという野外救急法の普及教育団体と(公財)社会教育協会という自然学校に籍を置いて活動しています。今日はWMA Japanのカリキュラムより、野外現場のサバイバルで最も大切といわれる「体温保持」についてアイディアをお届けします。ご存知の方も多いように、野外での停滞時または遭難時には、まず「体温をしっかり維持しておくこと」が何よりも大切です。救助救急に時間がかかる状況「ウィルダネス状況下」から生還した人の現場での対応を掘り下げていくと、そこに共通していたのは「共通して現場での体温維持に努められていたこと」という調査結果もあるほどです。野外で体温を維持するには次の2つのコンセプトがあります。
①体が頑張る機能(代償機能)を飲食によってサポート
②外側からの保温により、これ以上の体温低下を防ぐ。
①飲食によってサポート
体は筋肉を動かし震えることで、熱を生産します。寒い環境下でこの熱生産をサポートしてあげられるようにカロリーと水分を補給しましょう。エネルギー効率が良いのは単糖類(ブドウ糖)で、その後炭水化物→タンパク質とされています。
②外側からの保温。
「保温をする資機材」は現場によって異なります。大切なのは現場でゲットできた資機材の使い方です。それには、「熱が奪われる経路」を理解し、道具が「どの経路を最もよく塞ぐか」を考え使用することで、効率的に保温効果を得られます。
(人間の熱の放出経路とその対策例)
〇伝導(直接触れているところ):キャンプマットやバックパック、段ボールなど断熱になるもの
〇対流(風や水流など動きによって):ブルーシートやタープ、ツェルトなど防風効果のあるもの
〇放射(常に人間が放出している熱):サバイバルシートなど熱を跳ね返すものやシュラフ、毛布など熱をため込むもの
〇気化(汗や濡れの水蒸気によって奪われる):肌をドライにする、または防水性のシートやビニール袋などで水蒸気を閉じ込める。
WMAJでは実際に実技を通しながらこうした野外での安全、救急に関する講習会をしています。ぜひコースもチェックしてみてください。ウィルダネス状況下からの生還事例の多くは「現場でのしっかりとした体温管理とカロリー、水分の補給」にキーワードがあります。コンセプトを理解して、安全安心なアウトドアライフを送りましょう!