山岳救助

第2回Wilderness Risk Management Conferenceでは初日のシンポだけでなく、2日目のワークショップにも非常に濃い内容のものが集まっていました。
こちらのページではそのワークショップの内容を順次紹介していきます。
第1回は『山岳救助現場からみたリスクマネジメント』です!

平成29年の山岳遭難統計が発表された翌日、というタイミングで開催されたこのワークショップ。山の都の核心部を守る、まさに真打登場!と言ったところ。注目度も高く、立ち見も多数みられた。

先ず登壇されたのは、長野県警察本部地域部山岳安全対策課の岸本俊郎さん。
ワークショップは発表されたばかりの山岳遭難統計の概要の紹介で始まった。例年のごとく、今回も遭難件数1位は長野県であったが、その(長野県での)原因は全国1位の「道迷い」とは異なり「転・滑落」というのが印象的であった。

その後、実際の山岳救助活動の動画を観ながら、遭難の要因となった事項について解説があった。
遭難につながる地形的/気象的/人的要因の中で、何が問題だったのか。心構え、準備計画、装備、行動パターン、運動生理と、特に聞く側が直ぐに改善しやすい人的要因に関する注意点が多く紹介された。

そして、それでも遭難してしまったときすべきこと、情報伝達の方法等について解説があった。

続いて、長野県観光部山岳高原観光課の野口昌克さんが登壇され、長野県として行っている山岳事故防止に対する取り組みについて紹介があった。

リンクがあるものを列挙すると、
山岳遭難防止対策協会発行の島崎三歩の「山岳通信」
https://www.pref.nagano.lg.jp/…/…/sotaikyo/sangakutusin.html
登山計画書等に関する「長野県登山安全条例」
https://www.pref.nagano.lg.jp/ka…/tozanjorei/tozanjorei.html
「登山を安全に楽しむためのガイドライン」
https://www.pref.nagano.lg.jp/…/docume…/201803_guideline.pdf
ガイドラインの中にもある「信州山のグレーディング」
https://www.pref.nagano.lg.jp/…/yamanogure-dexingu_matrix-2…
独自のガイド制度「信州登山案内人」
https://www.pref.nagano.lg.jp/…/k…/tozan/annainin/index.html

紹介を通して、山の都の山岳安全に対する強い想いと姿勢が垣間見られた。

山行経験豊富なオーディエンスにとっては、知識として聞いたことのある話も多かったかもしれない。しかし生の現場を知る二方の話は、より臨場感を持って我々の心に入り込み、山に対して謙虚であること、基本を忘れないことの大切さを考えさせた。

文)稲垣 泰斗

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