Leave No Traceをリスクマネジメントから考える:みんなが幸せになれるアウトドアツーリズムを目指して

岡村泰斗(WEAインストラクター/LNTエデュケーター/backcountry classroom Inc代表)

Leave No Trace:LNTとは、アウトドアユーザーが、自然に対するインパクトを最小化するための、野外倫理プログラムです。7つの行動原理からなり、あらゆる環境、あらゆる活動、あらゆる対象に応用することができます。
1)事前の計画と準備(Plan ahead and prepare)
2)影響の少ない場所での活動(Travel and camp on durable surfaces)
3)ゴミの適切な処理(Dispose of waste properly)
4)見たものはそのままに(Leave what you find)
5)最小限のたき火の影響(Minimize campfire impacts)
6)野生動物の尊重(Respect wildlife)
7)他のビジターへの配慮(Be considerate of other visitors)
※日本語訳はWEAJがLNTより公認を受けたものです。国内で異なった日本語で用いることはできません。

この内容を見ると、このカンファレンスのテーマであるリスクマネジメントと、環境保護は別の概念のように感じますが、LNTには、原則7にある通り、他のビジターや、地域社会に対する配慮行動も含まれています。今回のテーマであるインバウンドを考えた時、異なった価値観を持つ、訪日外国人と日本人が気持ちよく、同じ自然を楽しみ、不要なトラブルを回避するためにもとても重要な考え方です。

現在WEAJでは、フットウェアメーカーのKEEN JAPANと連携し、Us4 IRIOMOTEという組織を立ち上げ、現在世界遺産を目指す西表の自然を守るために、西表を訪れるアウトドアツーリストや、西表のガイドに対しLNTの普及を行なっています。今後世界遺産に登録され、今日までのようなアウトドアツーリズムが繰り返されれば、絶滅の危機にさらされている西表の動植物たちは、地球上から姿を消す日も遠くはないと思います。LNTはすでにアウトドアユーザー、プロバイダーのためのグローバルな野外倫理となっているため、西表を訪れる多くの外国人にとってはとても馴染みのあるプログラムです。日本人ツーリスト、日本人ガイドがLNTを理解することにより、同じ倫理を共有する外国人ツーリストと、気持ちよく日本の美しい自然を共有できるのではないでしょうか。

このワークショップでは、まずは、LNTの7原則と、特に原則7の他のビジターへの配慮について理解します。次に、現在起きているインバウンドツーリズムやアウトドアツリーリズムに関する問題をレビューします。最後に、それらの問題をLNTの考えに基づいて、解決する方法をシミュレーションで考えようと思います。

アウトドアの魅力の一つはフリーダムです。それが色々な問題が起こることで、たくさんのルールができてしまいます。自由なアウトドア活動が規則でがんじがらめにはなりたくないですよね。ルールの前に、我々のエシック(倫理)で、いつまでも自由なアウトドア活動を維持したいものです。

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