稲垣 泰斗(北里大学医学部救命救急医学/Wilderness Medical Associates Japan)
日本国内におけるトレイルランニングの競技人口は近年急速に増加し、20万人を超えると言われている。また、年間開催されるレース数は大小合わせて300以上にも及ぶ。
人気はスポーツの持つ魅力を示している一方で、様々な問題を生み出している。
例えば、競技人口の増加は必然的に事故の発生数を増加させ、レース数の増加に伴い生じた運営体制の質の格差が問題視されている。
救護体制に関して言えば、各大会においてより顕著な差がみられる。
アウトドアスポーツという特性から、そもそも一般的都市型スポーツよりも救護体制を築くのが困難な上に、これまでに確立されたロールモデルが存在しないということがその理由として挙げられる。
では、実際のトレイルランニングレースの救護体制作りはどのように行っていけば良いのか?
都市型マススポーツイベントとの同違点に学び、野外救急法の概念が取り入れられ、最新テクノロジーの導入が進むトレイルランニングレース救護体制の現在地を、複数のトレイルランニングレースの救護体制作りをサポートしてきた演者が解説・共有する。